揺れる
揺れる。
木々が、花が、夢が、気持ちが。
揺れている。
昨日が、明日が、今日が、今が。
揺れることができるのは、
どこかにつながっているから。
揺れることができるのは、
何かが、つかんでくれているから。
飛んでいかないように。
ころがっていかないように。
放たれてしまえば、
もう、とどまることは、できない。
揺れているのは、
どこかで、何かに、
あるいは誰かに、
守られているからかもしれない。
Memo
「ゆれる」というタイトルの映画があります。
2006年に公開された、西川美和監督作品ですが、私は上映中に3度観に行きました。
主演のオダギリージョーさんがカッコ良かったのもありますが、何より、登場人物の心の描写の演出に参ってしまったからです。
何かが起こる予兆として、酒びんが倒れたり、ドアを閉めた時の空気の振動で波打つ写真の現像液で、心のゆれと同調させたり、もう、細部まで見逃せないのです。
心象は、全てでなくとも、必ずどこか現実とつながっています。
よって、ゆれるわけです。
思い込みと真実とのズレ、記憶の曖昧さ、普通の顔をした、奥の奥に潜む本当について、深く考えさせられる作品です。
誰かの犠牲になって、我慢して、現状を受入れている。それを自覚しながら生きていると、憎しみや羨みの種があることはわかっているので、考えるたびに、思い出すたびに、その思いは育ってしまうもの。
でも、その考えを選んでいるのは、何をかくそう、自分。
興味があったらぜひ、観てみてくださいね。DVDやblu-rayで出ているので。
Monoloque(モノローグ)について
本当の本当を探る、ささやかな時間。思いと現実のズレを整える術として。