「ころべばいいのに」
このタイトル、妙にしびれますワ。
本屋さんで、この表紙を見た途端、猛スピードで心にズームしてくるインパクトがありました。手に取らずにはいられない感じ。いや、このタイトル、ズルいです。
帯にある、手書き風の「きらいなひとって、いるよねー。」っていうフレーズにも、速攻でうなづいていましたね、私は。
絵本作家ヨシタケシンスケさん作の発想えほんシリーズの第4弾。
普段、積極的に絵本を読むタイプではないので、発想えほんシリーズの存在をはじめて知りましたが、本作品を読んで、これは、全部チェックせねば、と思ってしまった次第。
この作品に触れることで、心がラクになれる人、多いんじゃないかなー、と思います。もちろん子供向けに作られた作品ですが、むしろ、大人のみなさんに読んでほしいです。
もうね、人生を明るくやりすごすタネとネタが、ぎゅうぎゅうに詰まっていますから。
というわけで、今回は、本作品の読みどころをシェアしていきます。
【絵本】ころべばいいのに
作品の内容:何が書いてあるの?
「わたしには きらいなひとがいる。なんにんか、いる。」
もう、冒頭から、心持ってかれますよね。
そのきらいなひとたちを思い浮かべて、主人公がポツリと言うセリフ、「いしにつまずいてころべばいいのに。」が、タイトルになっています。
本作品は、簡単に言えば、小学生の小さな女の子が、日常で出くわす「きらいなひと」を通して、自分の気持ちとの向き合い方を探求していく物語。
もう少し広げて言うなら、「イヤだな」という感情が沸き上がった時、どうやってその感情を自分なりに料理していくのか、その料理法を提示し、どれを選べば得策かを考えさせられる作品になっています。
「あの人嫌い!」って気持ちになった時、そのことばっかり考えちゃって、嫌いを増幅させることもできるけれど、気持ちを逸らすこともできますよね。
それを上手に出来ないのが、頭が固い大人なんじゃないかな、と思うんですよね。と、すると、やっぱり本作は、人間関係に悩む大人たちにプッシュしたい!
作品の魅力:どこがいいの?
絵本はイラストが命なので、中面画像の掲載は控えておきますが、表紙と裏表紙を見れば、作品のタッチは想像していただけるんじゃないかな、と思います。
表紙に、内容シーンのダイジェストイラストが並んでいるのが、ニクいところです。
で、とにかく、わかりやすい構成になってます。
前半でイヤな気分の具体的な対処ケース、後半でイヤな気分について、向き合いつつ考えてみるという、深みのある内容になっています。
【前半】イヤな気分の対処ケースが様々な切り口で表現されています。
- きらいなひとのことばかり考えて、モンモンとしている
→心も体も重くなる選択 - きらいなひとを、やっつける想像をする
→ちょっと楽しい選択 - 悲劇のヒロインにどっぷりつかる
→ドラマ好きなら悪くない選択※作品中で、かわいそうポイントがたまる、とか、笑えます。 - ぜんぜん関係ないことをする
→気持ちを散らすには役立ちそうな選択※作品中で、くつしたをまるめたり、スプーンを並べたり、ほっこりします。 - 避難できる場所を確保する
→逃げ場所つくっておく選択。 - イザという時のために、自分をはげますアイテムを揃えておく
→気分を逸らしてくれる、何か(食べ物や音楽など、ワクっとする大好物)はたくさん欲しいですね。個人的にこれ◎ - イヤな気分が残ったまま、気分転換を試み続ける
→しゃべったり、食べたり、考えないいろいろをやってみる選択。
【後半】イヤな気分について、向き合って、考えてみるフェーズです。
- きらいなひととのこれからは?
→良くなる可能性やそうでない場合があったり、ね。 - きらいなひとはあやつられているという妄想
→物語化して楽しむ、ってのは、楽しいです。 - きらうパワーをおもしろいパワーに使う
→望むことを考えまくるって、エネルギー高まります。 - きらいなひとに出くわしたら、どうするか自分で決める
→対処法はいろいろあるから、選べますものね。
というわけで、本作を最後まで読むことで、以下のようなことを思い出させてくれます。
きらいなひと、イヤな気分に出くわした時、どうするかは自分次第。考えたり、逃げたり、向き合ったり、いろいろ選べるよ、ってメッセージ、おおきく頷けます。
【ギフト】人間関係に悩める大人に贈りたい
本屋さんで、本作を見つけた時、立ち読みで一読し、「いやぁ、いい本に巡り合えた~」と満足しました。
が、「でも、絵本だし、買わなくていっか」という判断をして、一度、棚に戻したのですが、20mぐらい歩いて、「やっぱ、欲しい、何なら誰かにプレゼントしてもいいし」という思いに至り、速攻戻って、購入しました。
で、とりあえず、ギフト用仕様にしてもらったのですが、結局、自分へのギフトになっちゃいました。
これ、人間関係に悩んでいる大人へに響きます、きっと。
もちろん、お子様にも(^-^;