『レ・ミゼラブル』2019年大阪公演、観に行ってきました。日本では2017年から2年ぶりの上演。個人的には4度目の観劇でしたが、やっぱり、何度観ても魂をぎゅっと掴まれる思いになります。今回も、もちろん。
超難関オーディションをくぐり抜けてきた、新キャストも注目されるところですよね。昨年末お披露目された動画を観ながら、とても楽しみにしていました。
2019年新キャスト
【ジャン・バルジャン役】佐藤隆紀
【ジャベール役】上原理生/伊礼彼方
【ファンテーヌ役】濱田めぐみ
【エポニーヌ役】屋比久知奈
【マリウス役】三浦宏規
【コゼット役】熊谷彩春
【テナルディエ役】斎藤司(トレンディエンジェル)
【マダム・テナルディエ役】朴ろ美
【アンジョルラス役】小野田龍之介
今回、私が観劇したのは、13日の夜の部。新キャストは、コゼット役の熊谷彩春さんとテナルディエ役の斎藤司さんでした。
では、レミゼ2019年版について、感想をお届けしていきます。
【キャスト】大阪公演 7月13日(土)17:00
【ジャン・バルジャン役】吉原光夫
【ジャベール役】川口竜也
【ファンテーヌ役】二宮愛
【エポニーヌ役】唯月ふうか
【マリウス役】内藤大希
【コゼット役】熊谷彩春
【アンジョルラス役】相葉裕樹
【テナルディエ役】斎藤司
【マダム・テナルディエ役】鈴木ほのか
ほか
【まるごとジャンバルジャン】魂が息づく声が光る吉原光夫
2011年、32歳でジャン・バルジャン役に抜擢されて、今回2019年は5度目のバルジャン役。2013年、2015年、2017年は、バルジャン役と敵役のジャベール役の二役を交互に演じられた経験もある吉原光夫さん。
役に慣れているはずなのに、慣れを感じさせない、ジャン・バルジャンの緊張感を安定して保っている演技。というか、まるごとジャン・バルジャンでした。
「彼を返して♪」の高音パートでは、声が細い光になって、空に届いているような感覚がありました。
力は強くても、心は繊細。常に罪悪感を抱えて生きる、人間的なバルジャンの魂を感じることができました。
肉厚すぎない声、個人的に好きです。
【貫禄のジャベール】複雑な感情が熱く伝わる川口竜也
「スターズ♪」かっこよすぎる!今日観た中で一番だ!
中休憩の時、隣の席で観ていた大学生が、両親に向かって興奮しながらそう言ってました。(いいなぁ、家族でレミゼ観劇なんて)
でも、ホントそう。川口竜也さんジャベールにド・ハマリです。
2013年からジャベール役をやられていているようですが、きっと、物語の中のジャベールもこんな声なんじゃないかな、と思わされる、熱く複雑な思いが伝わってきました。
劇団四季出身で、「美女と野獣」のガストン、「ライオンキング」のシンバなど、をやられているんですってね。イメージありますね。
【程よいマリウス&アンジョルラスコンビ】キレイな内藤大希&相葉裕樹
2017年に続いて今回2回目のマリウス役の内藤大希さんとアンジョルラス役の相葉裕樹さん。
何か、若者ってキレイ。王子様みたいなぁ、と。
イケメン&歌唱力もバツグン。こりゃあ、若い女子がほっときませんね。
先に書きましたジャベールイチオシの隣の席の大学生は、またも両親にアンジョルラスはイケメンすぎると嘆いておりました(^-^;
でも、過去を追ってみても、イケメン&歌唱力バツグンコンビでしたよね。だって、革命の主役ですものね。
【ソフトなエポニーヌ】優しい乙女部分の残る唯月ふうか
2017年に続いて今回2回目のエポ。キレイです、歌上手いです、そして、ちょっと美しすぎるかも。
テナルディエの娘にしては、キレイすぎる、とも思うけれど、どんなに衣装やメイクで汚しても品の良さは出てきちゃうものなのよね。羨ましいけれど。
ということで、ソフトなエポニーヌかも。でも、しっかり悲壮感も伝わってきますから、そこらへんは安心です。
「オン・マイ・オウン♪」もキレイな感じ。泥臭いパンチのきいたエポニーヌが好みならば、崑夏美さんの方かな。どちらも良いですよ。
【正統派コゼット】才女の余裕が漂う熊谷彩春
史上最年少18歳でコゼット役を射止めた、熊谷彩春(いろは)さん。
幼いころからバレエや音楽など、英才教育を受ける環境に恵まれていたようで、その風貌を一目見れば、大切に育てられてきた余裕がうかがえます。
レミゼの中のジャン・バルジャンにも大切に育てられていたので、そのあたりは重なりますね。
何しろ品が良く、舞台の上でもその長年愛されてきた余裕のようなものが見え隠れしているように思えました。
「プリュメ街♪」では、畏まった感に純真さが漂い、これはこれで、彩春さんのコゼット色として、良かったです。それに、容姿は申し分ないですからね。
個人的には、こわれそうな繊細オーラが加わると、幸せの奥にある不安なんかが伝えられるのかも、とか思ったりもしました。
【軽快なテナルディエ】ワル表情とドス声で存在感を放った斎藤司
お笑い芸人が歴史的ミュージカルの大作のメインキャストを務めるのは史上初。斎藤司さんがテナルディエ役に抜擢されたのは、個人的にとても興味深いものでした。
- 未経験ジャンル
- ベテラン揃い
- 音楽勉強歴の差
- など
舞台ミュージカル界では、ひとりだけ素人。こういう状況になると、ほとんどの人が、引け目意識がマックスになるのではないか、と。飛び込み、やってのけるには、かなりの勇気と努力、そして葛藤もついて回るに違いない、と。
でも、斎藤司さんは、挑戦し、やってのけてくれてました。
1月に披露した歌。これはこれで歌としては上手でしたが、3か月の稽古を超え、舞台で観たテナルディエの歌声は全く別物になっていました。
▼歌唱お披露目会のテナルディエ(1月)
もともと、歌は上手ですが、歌唱お披露目会の段階では、演技はしていないし、声も軽やかでした。
でも、本舞台では、声にはもっとドスが加わり重みが増し、お調子者ぶりを軽快な演技で表現されていました。
人は3か月でこんなに変われるものなんだな、と、挑戦に対する希望を見せせてくれた気がしました。やっぱりプロだな、と。
もちろん、素養があるから磨きあげられていくのだけれど、素養って人それぞれに備わっていて、立ち向かう勇気と決意と、やり遂げる情熱が、その高みまで昇らせてくれる条件だったりするものだよな、ということを思い出させてくれました。
そう、今回、斎藤司さんが、この大作に出演される意味は、何かに躊躇している人に勇気を与えるってことにもなっている、と個人的に思います。
▼衣装をまとって告知するテナルディエ(4月)
髪がある斎藤司さん、ブラボーです。
【迫力のマダム・テナルディエ】作品愛をパンチで伝える鈴木ほのか
昭和でコゼット、平成でファンティーヌ、令和でマダム・テナルディエ。レミゼを生きてきた鈴木ほのかさん。
今回のマダム・テナルディエは、思いのほか、迫力すごいです。しっかり、テナルディエの尻をしいている姿が頼もしい感じでした。
ただ、昔のファンティーヌ時代を知っている身としては、役者って何でもできちゃうんだな、というか、何でもやっちゃえるんだな、と感慨深いものがありました。
それに、レ・ミゼに人生を投入しているパンチを感じました。作品愛ですね、これは。
安心して、悲劇の中の愚かな人間枠に笑えます。
個人的感想
今回、5月の東京公演に行けなかったので、レ・ミゼ観劇のためだけに大阪まで行きました。新幹線&1泊でとても割高(^-^;
熱いファンのみなさんは、全国追いかけていったりすることは、普通のことかもしれませんが、私はそういうタイプではなかったんですよね、今まで。
でも、今回は、そういうのも悪くないかも、とか思って、やってみました。
体験派としては、何か、新しい体験が蓄積されて、妙に満足しています。クセになりそうです。
そして、わざわざ東京から出向いて観劇した、2019年のレ・ミゼ。
観てよかった!
素晴らしい原作&プロ集団の公演だけに、良くないわけがないのですが、今回は、前述したように、斎藤司さんの挑戦に、希望を見せてもらえたのは、収穫です。
また、次回も絶対、観に行こう、と思う本日です。
レ・ミゼラブルあらすじ
レ・ミゼについて、あらすじを知りたい方は、以下より確認いただけます。
【プロローグ】
1815年、ツーロン
19年間投獄されていたジャン・バルジャンは、ジャベールから仮出獄を言い渡される。世間の冷たさにバルジャンの心は荒み、銀の食器を盗んで逃げようとする。司教に人としてのあり方を諭されたバルジャンは、過去を捨て新しい人生を生きようと決める。引用:レ・ミゼラブル・ストーリー&ソングスhttps://www.tohostage.com/lesmiserables/story.html